夜のドライブ

カーシェアを試している。時間に応じて料金がかかる仕組みなので、利用している間、用事を早く終えなくては、という気分が常に頭の片隅にあって、なんだかケチ臭くなることは否めない。とはいえ便利ではある。電車ではなかなか行けない場所へ、ふとしたタイミングでちょっと行ってみようか、ということになる。一つ一つのちょっとした遊びのハードルが下がる。要は生活水準が上がるということだと思う。

今日は原稿の進みが悪く、何か気分転換が必要になった。思いついて、夜景を見に行った。わりと近所の高台に公園があって、そこにある展望台が夜景スポットになっている。公園までの坂道は高級住宅街になっていて、ちょっと冗談みたいな豪邸があきれるほど並んでいた。聞くところ、このあたりの人たちは、この豪邸に住む一方で資産として都市部のマンションの部屋を所有していることも少なくないとか。なんだかな、と思う。

展望台には思ったより多くの人がいた。駐車時にはわりとひっきりなしに車が入ってきた。カップル、親子連れ、若者グループ。展望台への階段を上がると、人気のない崖の方にキツネを見つけた。野生のキツネを見たのは北海道に来てから3回目だった。1回目は前住居の近くの公園で、2回目はその近くの緑地で。今回のキツネはえらく人慣れしていて、結構近づいても平気だった。ただし、噛みつかれることを警戒して近づきすぎないよう注意はしていた。帰ってから調べたところ、キツネにはエキノコックスという寄生虫がいることも少なくなく、触ると感染する危険があるらしかった。下手なことをしなくて良かった。それにしてもかわいかった。

キツネを見て一通り興奮したこともあり、夜景自体にはあまり熱が入らなかった。実際のところ、夜景を見るという場合、いったい何を見ているのか、ちょっと疑問に思った。自分自身は頭でっかちな部分があって、夜景の中に知っている風景を探すことが多い。あれは○○通りで、あっちが○○塔だ、とかそんな感じで。